「石人(せきじん)」というものをご存知だろうか?字の如く、人型の石のことである。まあ、石で作られた人とでもいうべきなのだろうか。今回は「石人」が持つ不思議な魅力について探っていく。

岩戸山古墳
福岡県八女市
石人?
石で作られた人、「石人」具体的に想像しろと言われて、思い出すのはイースター島のモアイ像だろうか。

他にも有名な石人といえば、スタジオジブリの映画「千と千尋の神隠し」に出てくる石人だろう。

「モアイ像」はイースター島の集落の守り神として建てられたという話が有力だったり(モアイ像の謎については解明されていないので、諸説あるようです。)千と千尋の神隠しの「石人」に関しても、神様の住む不思議な領域のトンネルの手前に1体ポツンと設置されているので、領域を守る守り神なのだろうと思われる。
どちらも、守り神として生み出されているその形状が醸し出す不思議な非現実感が魅力的で、人々を虜にさせるパワーを持っている。
そんな、人々を虜にする石人はもちろん日本でも発見されている。
ということで、今回やってきたのは福岡県と熊本県の境目あたりにある福岡県八女市にある「岩戸山古墳」
この古墳は、あの学校の歴史の授業で習った、みんな大好きな鍵型の古墳「前方後円墳」である。木が生えているので航空写真ではちょっと分かりづらい。
なぜこの「岩戸山古墳」来たかというと、ここはなんと日本で一番石人が発見されている古墳である。
現在100を超える石人・石馬の数が発見されており、2番目に多いのは熊本県の姫ノ城古墳で16個ということである。驚異的な数の石人が発見されている古墳である。
岩戸山古墳の石人
それでは、お待ちかねの石人のお顔を拝見させていただく為に「岩戸山古墳」の隣に設置されている文化交流館「いわいの郷」に移動してみる。

この文化交流館「いわいの郷」は岩戸山古墳にて出土した石人や、まわりの八女古墳群で出土した貴重な資料などを展示している施設である。この展示室の石人展示数はおそらくは日本一の多さを誇るだろう(ハイカラダイブ調べ)と思われる。
しかも、この常設展示室は利用料なんと、無料!
なんとも至れり尽くせりのサイコーの施設である。
それでは、肝心の石人を拝見させていただこう。
ジャン!

カワイイw
なんともいえないこの表情。若干削られてはいるので、当時のお顔を拝見することはできないが古代風に髪を結った感じであることは感じ取れる。


その他にも手を広げた石人や、武装している石人など、ありとあらゆる石人が展示されている。モアイ像や千と千尋の石人を想像していた為に、想像とは全然違う姿ではあるが、これはこれで非常に良い。水鳥形埴輪と同じように古代のゆるキャラ感が満載である。古墳時代の方々は無意識でゆるキャラを生み出してしまう特殊能力を持ち合わせていたようで、非常にうらやましい限りである。
通常古墳には「埴輪」が並べられていることが多いが、この地を当時納めていた「筑紫君(つくしのきみ)一族」の古墳にはこのような石人が並べられたそうである。というのも、意味合いがあるらしく、「埴輪」を並べたのが関西を中心としたヤマト王権だとして、「石人」を並べたのは、そのヤマト王権からの独立を目に見える形で表現したとされている。
その為に、日本で発見されている石人のほとんどは九州とのことである。
この一帯は「阿蘇溶結凝灰岩」が豊富にあり、それを用いて石人が作られたとされている。「阿蘇溶結凝灰岩」とは柔らかい石で加工しやすい特徴がある。古墳の石棺などに多く使用された石材である。
結局は「筑紫君一族」は「磐井の乱」でヤマト王権に敗れた。その乱の後に古墳の守り神である石人達が守れなくする為に、石人の手足を打ち落としたとされている。
そんな、ニコニ古墳。
石人ギャラリー
アクセス
岩戸山古墳(岩戸山歴史文化交流館 いわいの郷)
所在地:〒834-0006 福岡県八女市吉田1562−1
見学時間:9:00 - 17:00(月曜日定休)
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