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北九州B級スポット

なぜ民家の隣に巨石が?小倉南区に突如現れる異世界な「帝踏石」【北九州B級スポット】

難読地名として知られる小倉南区・朽網(くさみ)。穏やかな住宅街を歩いていると、突如として風景の縮尺を狂わせる「巨石」が現れる。なぜ、これほど巨大な岩が砕かれることもなく、民家の軒先に平然と居座り続けているのだろうか。今回は、そんな日常のすぐ裏側に潜む「謎」を探索する。

朽網という街に潜む巨石

喧騒が響く小倉南区の国道沿い。朽網の住宅街に、時が止まったような巨石が鎮座しているのをご存知だろうか?

今回やってきたのは、小倉南区朽網。「くさみ」と読み、全国的な難読地名の一つとして知られている地名である。北九州空港へのシャトルバスの拠点であり、古くからの住宅街と自然が残る地域。実は公園にも結構古い遊具が残っていたりと個人的にも好きな町である。

そんな、朽網地区を走る国道10号線から少し入った住宅街に鎮座している巨石が、この「帝踏石(たいとうせき、ていとうせき(いわ)とも言う)」である。

写真からもわかるように、本当に住宅街突如として現れる巨石群。普通この手の巨石は川の上流の渓谷にあったりするものが、数にして5.6個も。しかも相当でかいサイズ。そして、住宅街に。謎すぎる。

この巨石群が、開発の進んだ住宅街のど真ん中にこれほど綺麗な状態で残っていること自体、ある種の『奇跡』に近い。普通なら道路を通す邪魔だとか、家を建てるのに不便だとかで砕かれてもおかしくないサイズだ。

注意看板から、この石の管理者は貴船神社であることがわかる。神社の管理のもとで、住宅街にそのまま残されている巨石。それだけでも歴史的にも非常に価値のあるものだろうということが想像できる。

謎が多いこの帝踏石。碑石の裏の説明文には名前の由来が書かれている。12代景行天皇が景行12年、土蜘蛛を征伐する時に、この岩の上で戦勝祈願をしたために「帝踏石」と呼ばれているとのことである。

土蜘蛛とはヤマト王権に従属しなかった部族の蔑称である。

歴史の教科書では数行で片付けられてしまうであろう「征伐」の物語。

しかし、目の前にあるこの巨大な岩の塊を見上げると、かつてここで繰り広げられたであろう、地響きがするような軍勢の足音や、王権の威信をかけた切実な祈りが、生々しい質感を持って迫ってくる。 渓谷にあるべき巨石が、なぜここにあるのか。地質学的な理由はさておき、「ここに石がなければならなかった」という古代の人々の強い意志さえ感じてしまう。

現地を訪れて驚くのは、その『無造作さ』である。注連縄や玉垣で仰々しく囲われているわけでもなく、ただそこにある。すぐ隣には現代的な住宅が建ち並び、車が停まっている。神域と日常の境界線がこれほどまでに曖昧な場所も珍しい。この『放置されているようでいて、圧倒的な存在感を放っている』というバランスこそが、帝踏石の真の面白さかもしれない。

かつて天皇が天下の平定を願い、その足を力強くかけた「帝踏石」。 今では、洗濯物が揺れ、子供たちの声が響く穏やかな住宅街のど真ん中で、まるで街の土台を支える「アンカー」のように静かに鎮座している。

激動の古代を生き抜き、今は朽網の日常を見守る巨石。その冷たい岩肌に触れるとき、私たちは足元の地面が、遠い神話の時代から地続きであることを思い知らされるのである。

そんな、帝踏石。

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ハイタロウ

ダイバー1号。 近代化建築初心者 廃墟・珍スポット・B級スポット探索が大好物。 時間があれば、変なスポットに行ってます。

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