
宇宙船を彷彿とさせるフォルム。

スターウォーズにこんなの出できませんでしたっけ?
ここは、旧島根県立博物館。現在は島根県庁の第3分庁舎として利用されている建物。
1958年竣工。設計は菊竹清訓。


自然彩光・自然換気に優れた美術館である福岡県久留米市の石橋美術館(現・久留米市美術館)を視察した実業家であり、のちに島根県知事となる田部長右衛門氏が、菊竹氏の技術に惚れ込み依頼したことから始まった。菊竹氏が28歳の頃のこと。田部氏の目の付け所には驚く。
「くら」と「ざしき」
久留米市の石橋美術館は、水害から守るために収蔵スペースを高い位置に設定する、昔でいう「高床式倉庫」のような作りをしている。


水害の多い松江市でも同様に、高さのある3階部分に収蔵スペース「くら」を設置し、1階部分は人の集まり交流することのできる空間を作り、「ざしき」として表現した。
「静」と「動」

博物館の県庁へ向く北側の面は「静」として、庭園などの周囲の景観を引き立てるような白い塀としての役割を果たし、安田臣氏設計の県庁舎、そして造園家の重森完途設計の庭園へのリスペクトや協調性が感じられる。

反対に、道路に面した東側は「動」。交通量が多くビルが並ぶ都市景観と対峙し、力強く存在している。
建物の象徴ともいえる、近未来的なデザインのルーバーウォール。「動」の側にあるこの壁は、実際に動く。回転することにより、自然光・空気を取り入れ、角度によって採り入れる量を調節することができる。
和を意識した建物


外壁のデザインは上が白壁、下の階が黒壁。白と黒が基調の松江城との調和を考えられている。
そして、梁の先に付いた縦樋の掃除口。葵の御紋になっている。

少し見えにくいが、屏風のような屋根。こちらは折板構造になっており、構造的な強さに加え、将来周りの建物から見下ろした時の面白さを考えて、とのこと。
現在へ
収蔵内容が増えても耐えられるように、どこを切っても同じ作りな「金太郎飴」構造の旧島根県立博物館。土地が続く限り延長可能な作りとなっており、1968年には実際に増築工事がされている。

現在、県庁第3分庁舎には公文書センターや竹島資料室があり、国の重要な出来事を未来へと繋いでいる。
そんなハイカラスポット。
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