街の風景に、知らず知らずのうちに溶け込んでいるオブジェたち。
「あっ!そういえば、そんなのあったな!」
記憶の片隅にある、そんな“ちょっと気になる存在”を深掘りしたり、しなかったり。日常の風景が少しだけ面白くなる、オブジェ好き「ハイカラダイブ」の探索シリーズです。
第01回
長与町の
「カッピー像」
長崎県長与町の河童のカッピー像
今回から新連載の「気になるオブジェ」シリーズ。上にも書いたけども、街中の風景で間違いなくあるけど、意外と気づかれていなかったり、街の外れにちょこんと設置されていたりと、そこに存在することを認識した瞬間に、ものすごく気になってきちゃう”オブジェ”を出来る限り調べてみる、そんなシリーズがこの「気になるオブジェ」。
第1回目は長崎県長与町で見つけたオブジェ河童の「カッピー」。

この像である。非常にいい表情のオブジェである。しかし、通常のイメージというか、普通の河童はもう少し不安定な「皿」を頭にのっけていて、皿の水がなくなったらダメ(干からびちゃう)というのがデフォルトだと思っているけども、この「カッピー」は質感的にはちょっと弾力のありそうな帽子的なものを身につけている。少し背が高かったので、この帽子に皿が付いているかどうかまでは確認できなかった。
なぜに「カッピー」という名前を知っているのかというと、

しっかりと、命名「カッピー」と記されているからである!もちろん、Googleマップもカッピーの名前で登録されている。
設置されている場所をマップで見てみると
🥒 カッピー像の生息地はこちら
この長与川の淵に設置されている。地図を見てみると確かに怪しげな淵ではある。河童というのは、大抵の場合はこの川が氾濫したり、純粋に危険だから注意喚起のために河童が出る!ということで言われたりする。この「カッピー」もそうなのだろうか?
調べてみると、どうやらこの「カッピー像」のすぐ隣を流れる「長与川」に河童伝説が残っているようである。
千石淵の河童伝説
昔この近くの中尾城というお城の殿様がこの城には井戸がなく、兵糧攻めにあった時に耐えられないからすぐにでも井戸を掘れという命令を出した。命じられた「助右衛門」という相撲の強い男は、村人たちに井戸を掘れと命令し掘らせた。村人が次々と倒れる中、3ヶ月ほど過ぎた頃に千石淵と呼ばれるところまで掘り進めてようやく水がでた。
水が出た報告を受けた「助右衛門」は急いで中尾城の殿様にすると、たくさんの褒美をもらった。褒美を目の前にした「助右衛門」はその褒美をみんなで分けずに独り占めしてしまった。
そのバチが当たったのか、少し経った頃にその掘った井戸に落ちて死んでしまった。村の人たちは心優しい人ばかりだったので、「助右衛門」のことを憎みもぜず、千石淵に水神様として祀ったそうである。
亡くなった「助右衛門」はそんな村人の心に打たれ、河童となって水を守った。だから、どんな干ばつになったとしても、千石淵の水は枯れたことがないという。
そんな伝説が残っているという。珍しい「河童の恩返し」話である。河童が悪さを働いてというものではなく、人間であった「助右衛門」が悪さをして恩返しのために河童になったパターン。よほど、悪かったなという思いが強かったのだろうか。

この河童のオブジェ「カッピー」はおそらくはその河童になった「助右衛門」がモデルになっているのであろう。ちなみにその「助右衛門」は人間時代に相撲がものすごく強い人物だったそうである。「松蔵」という人物がこの千石淵で釣りをしている時に河童に出会い、魚が欲しければ相撲で勝負しろと言われ、結果「松蔵」は釣った魚を全部取られてしまったという逸話も残されている。
川を守る=川の生態系もしっかりと守っているのであろう。いまだに「助右衛門」河童はこの川で守っていると思われる。この川で釣りをする方は注意が必要である。
何気なく通り過ぎていた川沿いのオブジェに、まさかこんなディープな郷土の歴史とドラマが隠されていたとは。
ただの石や金属の塊に見える街角のオブジェたちも、わかる範囲で調べ尽くしてみると、そこには必ず誰かの思いや街の記憶が残っているのだ。これだから「気になるオブジェ」の探索はやめられない。
そんな、ハイカラスポット。
※2025年8月訪問時の記録です。現在は変わっている可能性もあります。ご了承ください。
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