街の風景に、知らず知らずのうちに溶け込んでいるオブジェたち。
「あっ!そういえば、そんなのあったな!」
記憶の片隅にある、そんな“ちょっと気になる存在”を深掘りしたり、しなかったり。日常の風景が少しだけ面白くなる、オブジェ好き「ハイカラダイブ」の探索シリーズです。
第02回
江田島の
「赤鬼像」
広島江田島市の赤鬼像
「気になるオブジェ」の第2回は、広島県江田島市で発見したオブジェ「赤鬼像」。

気がつけば1回目に続いて2回連続で妖怪だ。
まず、この赤鬼の像をじっくりと見てみる。ちょっと、お腹まわりが出てて、ツノが生えてて、人を小馬鹿にしてる顔をしてる、「鬼のイメージってどんな感じ?」って言われて想像するドンピシャレベルの鬼である。そして、よく見ると眉間のしわの感じ、マジでめちゃくちゃ怒ってる。金棒を振りあげるほんの数秒前をオブジェに仕立て上げたような完璧な赤鬼の像である。

そして、この像が設置されているのは江田島市内にある「島の駅 豆ヶ島」もちろん、鬼ヶ島にかけているのだろうけども、「徳永豆腐店」というお豆腐屋さん。この鬼はつまりはお豆腐屋さんの看板ムスコである。…ん?鬼の性別を勝手に男にしたけどムスメかもしれない。
普通、日本の伝統文化である節分では「鬼は外、福は内」と豆をぶつけて鬼を退治するものであるが、ここは「豆(豆腐)」の直売所なのに、鬼がフルスイングで手招きして豆製品を売っているという、設定の大渋滞が起こっている。
まあ、鬼が看板ムスコ(ムスメ)になっているからには、さすがにこの江田島に「鬼の伝説」が残っているのだろうな。と思って調べたところ、本当にあるようだ。
👹 江田島の「島ひきおに」伝説
江田島には「島ひきおに(島引き鬼)」という有名な民話があり、江田島の沖合約300mに浮かぶ「引島(ひきしま)」という無人島がその舞台になっている。
その昔、平清盛が「音戸の瀬戸(おんどのせと)」という海峡を切り開いた際、潮の流れが急激に変わってしまい、地元の村人たちが船を出せず大変困っていました。 その話を聞きつけた鬼が、「よし、あの瀬戸を島で塞いで潮の流れを止めてやろう!」と立ち上がり、巨大な島を引っ張って海を渡ろうとしたという。しかし、あまりの重さに途中で力尽き、鬼はそのまま倒れて死んでしまった。その時に鬼が引っ張ってきて、途中で置き去りになったのが現在の「引島」だと言われている。(※諸説あり)
参考:江田島に伝わる民話「島ひきおに」より要約

あんなに眉間にシワを寄せて、今にも金棒で殴りかかってきそうな、人を小馬鹿にしたような顔をしている赤鬼像。
しかしそのルーツは、困っている村人を助けるために、自分の命を懸けて島を引っ張った、あの眉間の凄まじいシワからは全く想像できない、超がつくほど心優しい鬼だった。
第1回目の長与町「カッピー像」(元・欲深い悪人だったが改心して水神になった)とは真逆のベクトルだが、またしても見た目と中身のすさまじいギャップである。
村人のために命を落とした心優しい鬼。そんな鬼だからこそ、時を超えた今、江田島で唯一残るお豆腐屋さん「徳永豆腐店」の看板ムスコとして、大嫌いなはずの「豆」をフルスイングで手招きしてまで、一生懸命にお店をアピールしているのかもしれない。
そんな、ハイカラスポット。
※2026年1月訪問時の記録です。現在は変わっている可能性もあります。ご了承ください。
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