
南国・宮崎県ののどかな風景の中に、突如として口を開く「異世界」への入り口。今回ハイカラダイブが探索するのは、古代古墳の上に700体以上の巨大石像が乱立する宮崎屈指の超ド級のカオススポット。
宇宙人のような謎の神々、RPGの門番のような巨人、そして時空が歪んだよな空間……。まるでインディージョーンズの世界に迷い込んだかのような、謎に満ちた究極のDIY遺跡の全貌を探索する。
未知の文明の古代遺跡…?

農業が盛んな宮崎県高鍋町。
この町内に広がる広大な田畑の、非常にのどかな風景からは想像もつかない異世界があることをご存じだろうか?
と、いうことでやってきたのは、高鍋町のとある小高い丘。

丘を登りきると、そこは完全に独自の進化を遂げた未知の文明の遺跡だった。

まず出迎えてくれるのが、色褪せた赤い鳥居の奥に鎮座している、とんでもないシルエット。 顔はどこか宇宙人を思わせ、胴体からは謎の突起が何本も生えているトーテムポールのような巨像。このフリーダムな造形。別の銀河から飛来した古代兵器を見ているような錯覚に陥ってしまう。
さらに奥へと足を進んでいく。
もう脳内では勝手にインディジョーンズのテーマ曲が流れ始め、この遺跡に夢中になっていく。

次に現れたのは、見上げるほど巨大なヒゲの巨人。絶妙にアンバランスな体つきと、ピンク色で縁取られた衣服のライン。慈愛や優しさよりも「圧」を前面に出したその佇まいは、完全にRPGの中盤で立ちはだかる門番のそれだ。
どこかの突起物を押せば、「ガコン」と音がして秘密の階段が出てきそうである。

ふと足元を見ると、「持田古墳群」と書かれた古びた標柱が立っていた。周囲には静かに合掌する石像や、風化してのっぺらぼうになった謎の石像たちが、まるで秘密の集会を開いているかのように立ち並んでいる。
そう、実はここ、本物の古代古墳のど真ん中。 歴史的に極めて重要な遺跡の上に、規格外のオリジナル石像が所狭しと乱立している。過去の遺物と、後世の人間のすさまじい情熱が同じ空間でせめぎ合う、まさに時空が歪んだ特異点である。
一人の男が半生を捧げた狂気と情熱
この規格外の異世界空間「高鍋大師」だが、実は未知の古代文明が残したものではない。
開山者である岩岡保吉氏が私財を投じ、半生をかけて刻み続けた約700体もの石像群である。

公式の案内板によると、岩岡氏29歳の時に四国八十八ヶ所の巡礼に出かけたことをきっかけに、「高鍋に八十八ヶ所を造る」という壮大な構想を抱いたという。
わざわざ大分から石工を招いて自ら彫刻を学び、地元の方々と共に半世紀をかけてこの空間を造り上げたのだ。
凄まじい執念とDIY精神である。

そして、なぜこの石像たちが「持田古墳群」のど真ん中にあるのか。
そこには岩岡氏の深い優しさが隠されていた。

当時、周辺の古墳で相次いでいた盗掘に心を痛めた岩岡氏は、古墳に眠る古代の人々の霊を鎮め、人々の幸せを願うために、この地で石像の制作を続けたという。
その本気度は凄まじく、50歳の時には高野山真言宗で得度し、自ら僧侶(岩岡弘覚)にまでなっている。

しかし、出来上がったのは弘法大師像にとどまらず、アマテラスオオミカミ、風の神、果ては水戸黄門!?といったユニークな像たち。宗派にとらわれることなく彫り進めた結果、完全なる「神仏習合」のフリーダムな空間誕生したわけである。

大小さまざまな85基の古墳群と、700体以上に及ぶ超個性的なプロポーションの巨大石像たち。
最初は圧倒的なプレッシャーと不気味さを放っていたその表情も、制作者の温かい思いを知ると、公式の説明にある通り「口を開き、なんとなく笑っているように見えてくる」から不思議だ。日向灘を一望できる標高55mのこののどかな丘で、彼らは今日も古代の霊を慰めながら、訪れる人々に強烈なインパクトと癒やしを与え続けている。
一個人の情熱が暴走し、見事に異世界へと昇華された究極のアート空間。
そんな、ハイカラスポット。
アクセス
高鍋大師
所在地:〒884-0005 宮崎県児湯郡高鍋町
見学時間:24時間
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(年末の祭典ハイカラダイブ大賞の参考にさせていただきます。)
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