島根県松江市美保関町にかつてあったリフト、現在は廃墟となっている五本松公園登山リフトを探索。
五本松公園登山リフト
五本松公園登山リフトとは、美保関観光株式会社が運営していた登山リフトで、山の頂上にある五本松公園へ行くためのリフトである。
このリフトは、おそらくS30年(1955年)頃完成し、平成19年(2007年)4月から休業している。結構長く、50年程運用されていた登山リフトである。
島根県のデータによると休業した平成19年には7373人の方が利用。
利用者が多い時期は5月でツツジとG Wの時期となっている。データが遡れる平成14年の頃では年間1.7万人がこのリフトを利用している。
休業の年には石見銀山が世界遺産として登録されており、出雲大社、松江城と主要観光地からは離れていることが原因なのか利用者減により休業。
五本松公園へは現在一本の遊歩道で繋がっている。
その500m程の遊歩道を歩き始めてすぐ見えてくるのがお土産屋兼リフト券売り場である。サイドには当時のハイカラな看板。
遊歩道から見えてくるその建物はそこまで劣化しているわけではなく、当時の賑やかさが想像できるほどである。
乗車券売場のすぐ隣の草木が生い茂っているところに五本松公園登山リフトの山麓側の駅が登場。
当時を匂わせるようなペプシコーラの瓶。どこか真新しさを感じるほど綺麗な状態。
のりばと書かれている建物は古めかしいが劣化は最小限にとどめられており、休業から10年以上経っているようには見えないほど。
戦後10年ほどで建設されたであろう当時では相当なハイカラであったことが想像できる。
五本松公園へは往復で500円、片道400円。乗車時間はおよそ2分となっている。この天空へ登っていく2分間というワクワクは当時の子供には最高の思い出になったことだろう。
ハイカラな乗り物に乗ったことを学校で自慢する姿というのはいつでも誇らしいものである。
遊歩道を登っていくと、見えてくるのが山上側の駅。
建物自体は入れないようになっており、フェンス手前から覗き込めるだけではあるが、綺麗な外観をしている。
降り立った瞬間に興奮しながら、登ってきたリフトを見つめて、地上よりは少しゆったりとした時間を楽しんだことだろう。これから見える景色を想像しながらも、もう着いてしまったことへの喪失感。様々な感情が入り混じりながらも次の一歩を踏み出す成長が感じられる。
営業開始からおよそ50年ほど動き続けた登山リフト。乗車時間は2分だったかもしれないが、乗った人へ与えた興奮、恐怖などの影響は今も生き続けていることだろう。
そんな、ハイカラスポット。
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